コンクリート造(RC)の注文住宅が人気の理由
「デザイン性の高い家を建てたい」
「耐震性に優れた構造がいい」
耐震性や耐久性、間取りの自由度の高さなど、鉄筋コンクリートのメリットを生かした家づくりにより、上質な住まいとなるコンクリート造(RC)の住宅。注文住宅でコンクリート造(RC)の家を建てるなら、まずはコンクリート造(RC)について理解を深めておきましょう。
この記事では、そもそもコンクリート造(RC)とは何かといった基本的な知識から、注文住宅のデザイン例3選と一般に建築費が木造住宅より高いと言われているコンクリート造(RC)の価格を上回る価値や魅力が何かを探っていきます。
目次
注文住宅で人気のコンクリート造(RC)とは?
コンクリート造(RC)が高級注文住宅に採用される理由
注文住宅の計画をするときの最大の魅力は、建物のデザインにこだわり、自分の趣味趣向を反映させたオリジナルの家をつくれることです。
コンクリート造を略したRCは「Reinforced Concrete」の頭文字から来ており、RC、RC造といわれています。
建築方法は、工事現場で柱や壁の骨組みとなる鉄筋を組み、その周りを型枠といわれるベニヤ板などで囲み、その中にプラントで混合したコンクリートを流し込んで固めます。こうしてワンフロアずつ建物の形ができあがっていきます。
コンクリート造(RC)はデザインの自由度が高く、大きな空間を構成しやすいという点で自分だけのオリジナルデザインの家をつくりたいという高級注文住宅に多く採用されます。
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コンクリート造(RC)のメリット&デメリット
上述したように、コンクリート造(RC)はそのデザイン性の高さから高級注文住宅に多く採用されますが、これから実際にコンクリート造(RC)の注文住宅をお考えの方は、メリットとデメリットについてしっかり理解を深めておきましょう。
コンクリート造(RC)のメリット
コンクリート造(RC)のメリットは、遮音性・耐火性・耐震性の大きく3つあります。
メリット1:遮音性
遮音性は屋外への音漏れのしにくさ、屋外からの音の入りにくさ、上下階の音の伝わりにくさにつながります。音漏れは構造体だけで解決できる問題ではなく、サッシなどの開口部や換気扇などの開口にも大きく関係します。
ですが、それでも構造体そのものの遮音性の高さを利用して、気兼ねなくピアノを弾ける環境をつくったり、幹線道路近くの住宅外部からの遮音性を期待できます。上下階の音の伝わりは、コンクリート造(RC)のマンションと木造アパートを想像すればわかりやすいと思います。
メリット2:耐火性
災害によって火災が発生した場合、外壁の温度は1000度近くになるともいわれています。1000度ともなると木造の建物の場合、またたく間に火が広がり全焼してしまいます。
一方、鉄筋コンクリートの建物は、1000度という高温に晒されても数時間であれば耐久することができ、全焼や倒壊を免れることができます。
特に災害時の周囲からの火災に対する備えとして建物が密集するエリアでのメリットは高いと言えます。こうした機能性が高級注文住宅のニーズとマッチしてRC造が採用されやすい理由となっています。
メリット3:耐震性
鉄筋コンクリート(RC造)の建物は、コンクリートが圧縮力に優れ、鉄筋が引っ張る力に優れているため、それぞれの特徴を生かした地震に耐えやすい構造になっています。
ビルやマンションなど大型の建物にも多く採用されていることからもその耐震性の高さがうかがえます。
コンクリート造(RC)のデメリット
コンクリート造(RC)のメリットは、湿気とカビの発生・建物の重量が重いの大きく2つあります。
デメリット1:湿気とカビの発生
コンクリート造(RC)の特徴であるコンクリートはセメントが水と化学反応して硬くなります。つまり最初は水分を多量に含んでいるのです。化学反応は最初に一気に進み、コンクリートが固くなります。一定の強度が出た時点で型枠などが外されますが、水分が完全になくなるまで数年かかります。
新築から数年は湿気が出やすく特に空気の動きが少ない納戸や、使う頻度が少ない和室などはカビが生えやすい環境になります。襖を開け放ったり、換気を十分に行うなど、住まい手側の除湿に対する注意が必要です。
デメリット2:建物の重量が重い
コンクリート造(RC)は鉄筋やコンクリートなどの材料を使用していることから、木造など他の工法に比べて建物自体の重量が重いため建築には強固な地盤が必要です。地盤が緩い場合、地震によって地盤が下がったり、液状化を引き起こす可能性があります。
そのような事態を未然に防ぐために、地盤改良工事で補強する必要があり、想定以上の工事費用がかかるというケースがあります。
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コンクリート造(RC)の注文住宅デザイン例3選
コンクリート造(RC)の注文住宅のコスト高を上回る魅力は多々ありますが、なんといってもそのデザイン性でしょう。具体的にコンクリート造(RC)の注文住宅のデザイン例を見てみましょう。
RC造でつくる高級注文住宅の魅力1:大空間!
2層吹抜の大空間を前後2面ともガラスで構成されているこちらの住まい。周囲を緑に囲まれた立地を生かし、大空間をガラス窓で構成し、リビングに居てもまるで屋外の中にいるような解放感と居住性を両立させることができます。コンクリート造(RC)の特徴である大空間をつくりやすいという好例でしょう。
また、コンクリート造(RC)の特徴として木造のような傾斜屋根を必要としない為、きれいな箱型の組み合わさった外観になっています。これもコンクリート造(RC)のデザイン性が高いといわれる理由の一つです。
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RC造でつくる高級注文住宅の魅力2:自由な造形!
こちらの事例は、曲線デザインのCG提案を行い外壁を3次元の曲線で構成しています。型枠を現場で組んで、そこにコンクリートを流し込むことで、このような3次元曲線の造形ができます。
このようにコンクリート造(RC)は自由に造形をつくることができるため、デザインにこだわった高級注文住宅でコンクリート造(RC)を採用するケースが多いと言えます。
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RC造でつくる高級注文住宅の魅力3:デザイン性!
こちらの例では型枠にベニヤ板ではなく杉板を用いることで、美しい木目がコンクリートに転写され、無機質なコンクリートが逆に自然な柔らかさを持ちます。このようなコンクリート打放しといわれるコンクリートの素材そのものの美しさを使ったデザインはモダンなデザインを好まれる人に高い人気があると同時に、コンクリート造(RC)の注文住宅ならではの魅力といえます。
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これらの事例はコンクリート造(RC)の注文住宅を多数手がけているアーネストアーキテクツという設計事務所のWEBサイトに掲載されている事例からお借りしました。他にも多数の事例が掲載されていますので、参考にしてみてください。
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コンクリート造(RC)が高くなる理由
コンクリート造(RC)の費用感
注文住宅ではオリジナルデザインとなるため、一般的な坪単価では建築費を出しにくいのですが、参考までに完全フルオーダーの高級注文住宅の坪単価は140万円前後といわれています。費用の高さはその建物の耐用年数で割れば初期費用を上回る資産価値を持つともいえますので、耐用年数が長いコンクリート造(RC)の建物は初期費用だけでなく孫子の世代まで考えた家づくりも大切です。
コンクリート造(RC)の建築費が高い理由
注文住宅のコンクリート造(RC)の場合は現場での工事となるため、型枠や鉄筋を施工する職人の費用がかかり、またその為に工事期間も長くなります。つまり、工事費や間接経費が、木造や工場で作ったRCパネルよりかかるという事になります。また、コンクリート自体の自重の大きさから基礎も木造より大きくする必要があったり、場合によっては地盤改良や杭などの工事が必要になります。これが一般的にコンクリート造(RC)の建築費が高くなる主な理由です。
一方ハウスメーカーのRC造の多くは工場で鉄筋コンクリートのパネルをつくり、工事現場でそれを組み立てます。その為、デザインや間取りに対する自由度は逆に低いのです。
注文住宅では先ほどのように現場で鉄筋や型枠を組んでオリジナルの形を作っていくので、ハウスメーカーのコンクリート造(RC)と注文住宅のコンクリート造(RC)とでは構造体が同じコンクリートでも考え方が異なります。
コンクリート造(RC)注文住宅における検討時の注意点
熱伝導率と室内環境コントロールを考慮する
コンクリート造(RC)の注意点1つ目は、熱伝導率が高いことによる「夏は暑く、冬は寒い」というイメージです。あえてイメージと言ったのは、そのイメージは断熱に対する意識の低かった一昔前のコンクリート造(RC)のイメージから来ていることが多いためです。
現代では住宅の断熱に対する意識は設計段階から重要視されているので、コンクリート造(RC)の注文住宅の設計例が多い設計事務所であれば技術的に対処されていると考えてよいと思います。さらに、大空間を持ったガラスで構成された住まいなどは、コンクリート造(RC)の断熱性能も大切ですが、空調や床暖房を使った室内環境コントロールにも注意すべきでしょう。
実績が豊富な業者を選ぶ
コンクリート造(RC)の注意点2つ目は、実際の施工事例を見せてもらったり、どのような管理を行っているのか具体的に質問することで、施工実績と担当者の説明から信頼できる業者であるかどうかの判断をする必要があります。
コンクリート造(RC)の注文住宅はプラントで混合されたコンクリートを現場で流し込んで構造体をつくります。その為、作られた構造体の品質は現場での管理が鍵となります。
例えば、鉄筋の組み方は正しいか?太さはあっているか?コンクリートを流し込むときの気温や天候は?など、技術的にチェックしておくべき項目は多数あります。特に住宅では依頼者は素人ですので、技術的なことはわかりません。だからこそ、しっかりとした施工技術と管理が重要になってきます。WEBサイトはある意味いくらでもきれいに魅力的に作れるので、実際の技術力をWEBサイトだけで判断する事はできません。
まとめ
最後に、この記事でご紹介してきたポイントをおさらいです。
-
- RC造のメリット
・音漏れや屋外からの音を防ぐ「遮音性」が高い
・災害などによる火災に対する「耐火性」が高い
・地震のゆれに対する「耐震性」が強い
-
- RC造のデメリット
・最初は水分を多く含んでいるため、湿気とカビが発生しやすい
・建物の重量で地盤が下がったり、液状化を引き起こす可能性がある
- コンクリート造(RC)の費用は、フルオーダーで設計すると坪単価は140万円前後かかる
- コンクリート造(RC)は工事費と間接経費が木造や規格化されたものに比べて高い
- 注文住宅でコンクリート造(RC)を依頼する際は、施工実績と管理力がある会社を選ぶ
高級注文住宅を数多く手がけるアーネストアーキテクツ
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